読んだり、食べたり、あきらめたり

つぶやきの保存。主に本や食べ物について。読んだ本の感想は読書メーターに投稿しています。

本好きが選みし最近をかしかりき5冊

タイトル古語風ですが、選んだ本は、現代語で書かれた本です。
なんとなく「本好きが選んだ最近おもしろかった本5選」のやうなライフハックっぽいタイトルを古語風にしてみただけで深い意味はなかりけり。
古語や、くずし字を読めるようになりたひと思ふ。


初めて、はてなのお題(トピック?)で書いてみました。
最近ということなので、この1ヶ月以内に読んで、おもしろかった本5冊です。



わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

いまだなつき (id:imada-natsuki)さんの記事( http://tsukiyomi.hatenablog.jp/entry/2015/04/30/113115 )で知って、読んでみました。
駅のソーセージ売りから始めた小さな給仕人のあり得ないような出来事が起こる人生色々浮き沈み……。
「おまえはここで、何も見ないし、何も耳にしない。しかし同時に、すべてを見て、すべてに耳を傾けなければならない」この支配人から言われた言葉通り、すべてを見て、すべてに耳を傾けた男の物語と、チェコの歴史が重なります。



二畳で豊かに住む (集英社新書)

二畳で豊かに住む (集英社新書)

読書中 (id:dokusyotyu)さんの記事( http://dokusyotyu.hatenablog.com/entry/2015/04/25/085029 )で知って。
百けん先生が戦争中、焼け出されて住んでいた3畳の掘っ立て小屋(そのうち、1畳は押入!2畳で夫婦2人暮らし)のことは、昔から知りたかったのです。
主体性を持って狭い家をどう住みこなすかというテーマは、テレビのお家紹介番組などで、こんな広い家は掃除が大変だから住みたくない……無駄に広すぎる……などと考えてしまう私のような人間には興味深いものでした。



弦と響 (光文社文庫)

弦と響 (光文社文庫)

鹿間四重奏団の解散コンサートの日、チェロ奏者の妻、セカンドバイオリン、ビオラ、ホールスタッフ、チェロ、マネージャー、ファーストバイオリン鹿間の元恋人、タウン誌の記者、久しぶりのコンサートに来た介護に疲れた主婦等の思いが、それぞれの視点で綴られた短編集。
終わりつつあるもの、無くなりつつあるものを、それぞれの視点で繊細に描きながら、クラッシック界の現状、内幕ものとしても楽しめます。



湯豆腐、蕎麦、いちごのジャム、腐りかけて甘い匂いを放つ桃、とろろ芋、真桑瓜など……食べることは、性的なことに繋がっていて……。
女たちとの出来事が食べ物を軸に、幼少のぼく、若い頃のぼく、中年のぼく、初老のぼくの思い出として、幻想的でエロティックに語られる短編集。



遅ればせながら、東日本大震災で甚大な被害を受けた日本製紙石巻工場の"あの日"から再生までの一年間のドキュメントを、やっと読みました。
地震津波、避難、被害状況、工場で作られる紙の話、製紙会社と出版社との信頼と連係、日本製紙野球部の戦い、機械を動かすまでの苦労、第七章「居酒屋店主の証言」ではマスコミでは報道されない震災美談の裏側にある人間の醜さに、語る店主と、聞いている著者の憤懣やるかたない気持ちが伝わって、腹が立ったり……。
とにかく、至るところで涙腺がゆるむので読むのが大変だったけれど、本好きとしては、読んで良かったと強く思った一冊です。
「本はやっぱりめくらなくちゃね。お父さん」(8号機のリーダー佐藤さんの娘さんの言葉)




トピック「最近おもしろかった本」について