引用
- 作者: もりもと崇
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/01/18
- メディア: コミック
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身ィ守る方法知らんまんま
身売る芸覚えたいんか?
君川太夫みたいに
稼ぐ端からよってたかってむしり取られたいんか?
わたいら「体力の限界です」て泣いたら引退でける力士(デブ)ちゃうんやど?
出世より先に生きて退廓できるよう頭使え
カネの亡者がイヤやったらなあ……
本物の亡者になってまえ
ええか?廓(ここ)では誰もおまえを守ってくれん
もちろん わたいも守ってやれんけど……
せめて むしり取られん知恵だけはつけたるわい
もりもと崇『難波鉦異本 上』/第一話「和泉とささら」より
- 作者: 小池昌代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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幸福というものは、ああ、幸福だと思ったとたん、なにかほかのものに変容する。幸福は一瞬のなかにしか生きられないもので、幸福という幻影を支えるのは、それ以外の、例えば退屈や不安といったものだ。そしてその退屈や不安こそが、人生のほとんどすべての要素であり、それらこそが現実をかたちづくるものである。幸福というのは、そのあいまに明滅する、奇跡のような錯覚にすぎない。それを感じるためには、ちょっとした才能、鋭さよりもむしろ鈍感という名の才能こそが、必要不可欠だと山子は思う。
小池昌代『ルーガ』/「ニギヤカな岸辺」より